【⭐️2】浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って
【浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って】青柳碧人 作:講談社文庫 2013/4/12(個人的評価::⭐️⭐️☆☆☆)
人気クイズ番組の司会者であるタレント・穴杉(あなすぎ)ヨシヒコが数学テロ組織【黒い三角定規】に拉致された。彼はかねてより数学排斥を賞讃する発言を繰り返していたという。
問題のテレビ局で捜査を行う武藤たちの元に、地下スタジオが大量のサルによって占拠されたという前代未聞の情報がもたらされる。
そのサルを束ねるのは【黒い三角定規】の一員・望月長里(もちづき ながさと)。
彼は「サルと会話できる機械」を開発する過程でサルを操ることのできる音波発生装置を発明、それを使い穴杉を誘拐、スタジオを乗っ取り穴杉の命を賭けたクイズ番組を配信し始めたのだった──というお話。短編5話と小話1本からなるオムニバス。
今までほとんど良いとこナシだった警察組、とりわけ大山(おおやま)あずさの活躍めざましい1冊。3話終盤にて渚の親友・セチこと長谷川千夏(はせがわ ちなつ)が犯人に投げかけた問いにも感嘆させられた。
ただ、それら折角のポジティブ評価をも帳消しにしてしまうくらい冒頭から登場人物らの非常識な言動に不快感待ったなし。鑑識作業真っ只中の事件現場でばりぼりスナック菓子喰らい食べクズぼろぼろこぼす刑事(大山)なんて懲戒免職モノじゃないの?
病院でエレキ三線(さんしん)奏で大騒ぎしたり等々、大山というキャラの破天荒振りを表現したいが為のエピソードなのでしょうが、破天荒で豪胆、を通り越し単に非常識でお騒がせなだけの大人にしか見えない。
いくらフィクションでラノベなノリの作品であっても、刑事という設定である以上、越えてはならない一線ってあると思うのですよ(少なくとも、自分は『そこ』をもの凄く気にするタイプ)。流石に今回の、スナック菓子の食べクズで事件現場を荒らす件は看過できませんでした……鑑識に注意されても尚「なんくるないさ~」と気にも留めない非常識振りに、ああ、大山あずさというキャラが今後どんな活躍を見せようとも、私は決してこのキャラを好きになることはないだろう(むしろ不快感しかない)なと感じ、本シリーズはここで切ることに。
ミュージカル仕立ての4話も読んでてずっと頭痛かった(※セシルはミュージカルが大の苦手)し、何か、無駄にだらだら話を引っ張ってる感もあるし。
渚の数学知識だとかそこから窺える人生観だとか、はっとさせられたり気付きを得られる部分もあるので、決して本シリーズを駄作だと思っている訳ではないのですが──返す返すも本作が『人が死なない』日常系ミステリー、とかだったら、これほどまでに抵抗感や嫌悪感を抱くことなく楽しめてたのかな……と思うと至極残念な気分。
もっとも、作者はむしろ『これ』がやりたかったようですから、作者のノリと自分の嗜好性がマッチしなかった、というだけの話なんですけどね。
どの作品だったか、作者があとがきで「リアリティを求めるタイプの読者に自分の作品は合わないだろう」というようなことを綴っていたように記憶しておりますが、正にそれでしょうか。
【霊視刑事シリーズ】は(今のところ)本当に好きなんですけれども──続刊待ち続けているのですが何年も動きがないあたり、もう打ち切り状態だったりするんですか、ね……?