【⭐️2】ラヴクラフト全集1
【ラヴクラフト全集1】H・P・ラヴクラフト 作:創元推理文庫 1974/12/23(個人的評価:⭐️⭐️☆☆☆)
成人祝いにニューイングランド地方を旅していたわたしは、目指すアーカムへの旅費を節約すべく、インスマウスの町を経由するというおんぼろバスに乗る。案内してくれた駅の出札係はしきりにインスマウスに関する不穏な噂を口にし警告し、実際、魚臭い町もそこに住まう人も不気味で不快極まりなかった。
それでもわたしは、アーカム行のバスが出発するまでの間、インスマウスの町を見て回ることにしたのだが──『インスマウスの影』ほか、全4話から成るオムニバス。
ゲーム等で知らず触れてきたクトゥルフ神話、その源流とも言えるラヴクラフトの作品をいつか読んでみよう──と前々から思いつつ、ようやく手に取った1冊……なのですが、原本がそうなのか和訳が直訳に過ぎるのか、とにかく終始回りくどく勿体振った言い回しのお陰でなっかなか内容が頭に入ってこず久しぶりに舟漕ぎまくり。
ストーリー展開のテンポも至極悪く、何度も読み直さないとならないことも相まって、頁をめくれどもめくれども面白いぐらい話が先に進まない。
【インスマウスの影】
ただただ「不気味な町に迷い込み身の危険を感じたので逃げ出す」というだけの内容に130頁も割く必要があったのか──いえ、書き方次第では何頁でも書けるだろうとは思いますけれども、本作に限って言えば、例えば「敵が扉を破ろうとしたので鍵を掛け隣の部屋に取り敢えず逃げたら相手も隣の部屋の扉へ移動したので先に鍵を掛け更に隣の部屋へ逃げt(以下ループ)」みたいな重要性の低い内容を更に綿棒で極限まで薄く伸ばしたような水増し感が凄まじいので、とにかく読んでて疲れるというかうんざりするというか。
脅威から逃亡するシーンでも、どこそこにどういう感じで身を隠し難を逃れるか──という一連の『わたし』の動作を逐一細かく描写する割には結果「事なきを得た」場合が殆どで、最初の1、2回くらいはハラハラしても、3回目以降は「はいはい、どうせまた敵に見つからず無事やり過ごせるんでしょ?」と緊張感も途切れ(そうして実際、予想通り敵に見つからない)冗長極まりない。
加えて、肝心な部分を後回しにしては『わたし』が延々勿体振って語るので「あの、とりあえず先に結論言ってもらっていいっすか?」とイライラすることしきり。短気な自分にこういう語り口の文体は相性がすこぶる悪いなと改めて。
そんな冗長な逃亡劇にもようやく決着がついた……と思ったら、後半唐突に主人公の家系の話にシフト。
序盤から伏線が張られていたならまだしも(いえ、舟漕ぎながら読んでたので、自分が読み逃していた可能性も否定できませんが😅)、本当に脈絡なく話が変わるので、ぶつ切り感というか置いてけぼり感が否めず。
オチとしては──どうなんでしょうかね、それなりの作品数触れてきた自分としては、特に目新しさも意外性も感じませんでしたが、本作が発表された1974年前当時なら或いは、読者の虚を突く奇想天外なオチ……だったり、した……の、かなぁ……?
【壁のなかの鼠】
本巻で自分が一番内容をよく理解できなかった話。ゆえに、読み終えたあと内容を思い出そうとしても全然思い出せない。
ちなみに「自宅の地下に……」という展開(設定?)はゲーム【エターナルダークネス ~招かれた13人~】のロイヴァス邸を連想。思えばあのゲームもクトゥルフ神話をベースにしていた……の、かも?
【死体安置所にて】
本巻で最も短く、それゆえに比較的読みやすく分かりやすかった話。
ただ、オチはよくあるオチだし、そもそもこれはクトゥルフ神話関係あるのかしら……?
【闇に囁くもの】
『インスマウスの影』同様、迂遠で独特な言い回しに遅々としたまだるい展開とが相まって、なかなか内容が頭に入ってこなかった。舟漕ぎまくり。
エイクリーの危機的状況を何度も手紙で知らされていたにも関わらず、主人公ウィルマートの行動があまりに浅慮な上、状況判断もあっさり二転三転するなど言動に芯も通っていないので、行き当たりばったり感が凄いというか、何だかなという半ば呆れ気味の目で展開を追ってしまう。
◆ ◆ ◆
総じて、話としては(もう少し読みやすい訳であれば印象も変わったかもしれませんけれども)特に面白さを感じなかったし、如何せん、迂遠な語り口がとにかくストレスで読んでいて疲労感ばかりが募る1冊という印象だったので、個人的評価は星1相当かという感じなのですが──ただ、なお現在にも根強い人気を誇るクトゥルフ神話その源流であることを思えば、この独創的な世界観を構築されたことに敬意を表すべきであろうということで、星1つ加点。
とはいえ、ラヴクラフトはもうこの1冊でお腹いっぱいかな😅
この読みにくく独特な文章がむしろ癖になるという猛者もいらっしゃるようですが、残念ながら、私は到底その域に到達することはできなさそうです。