【⭐️2】国語、数学、理科、誘拐
【国語、数学、理科、誘拐】青柳碧人 作:文春文庫 2016/3/10(個人的評価:⭐️⭐️☆☆☆)
JSS進学塾に通う生徒が誘拐された。
身代金は5,000円、それを全て1円玉にして1,000円ずつ塾の講師5人に指定した場所へ持ってこさせろ、と誘拐犯は要求してきたが──というお話。
〈西川麻子シリーズ〉の主人公・西川麻子(にしかわ まこ)が大学生時代にバイト講師として勤めていたJSS進学塾で起きた奇妙な誘拐事件を、塾長の加賀見(かがみ)他5人の大学生バイト講師プラスαの各視点から描くライトミステリー。
強いて言えば、何人か物語を牽引するメインらしいキャラはおれど、誰か一人が明確な主人公、という感じでもなく。それ故か、目まぐるしく語り手の視点が変わる(地の文一人称形式な)上、それぞれで互いの呼び方も違う(名字呼び、名前呼び、あだ名呼び等)ため、登場人物が多い事もあり名前を覚えにくく序盤から結構なストレス。
また、ライトなノリを意識してかキャラ付けも極端にコミカル(あざとい・わざとらしい)で、特に女性陣(西川麻子と織田楓〈おだ かえで〉)の空気詠め無さ・非常識振りが最後まで受け入れられなかった。
先述の〈西川麻子シリーズ〉における麻子の振る舞いに違和感を覚えた記憶はなけれど、本作の麻子は(若いという事を差し引いても)身代金の受け渡し現場に「憧れの先輩と一緒に行けるから」と浮かれデートのごとくめかし込んできたり、恋のライバル認定してか楓に意地悪く突っかかったり、「(犯人から出題された問題その解答が分からないからといって携帯なりで検索し調べるのは)自分の地理好きのプライドが許さない」と、人質の命よりも自分のプライドを優先した結果、犯人に課せられた制限時間をオーバーしたりと、とにかく非常識で身勝手な行動ばかりが目に付く。
もし、制限時間内に答えられず本当に人質が殺されていたら、一体どうする気だったのか。頭おかしいんじゃないの。
かと言って、対する楓も、あまりにもステレオタイプな『フシギ系』で言動が悉くあざとく、いちいち「ふぃぃぃ」だの「ほわぁ」だの台詞による天然アピールに余念がなく語尾も間延びさせるなど、締まりのない喋り方で終始イライラさせてくる。立ち位置としては決して悪くないキャラのはずなのに、キャラ付けでかなり損をしている印象。
こういうあざといキャラでも大丈夫、むしろ好き、という読者にとっては問題にはならないかもしれませんが、自分は怖気が走るほどに苦手なタイプなので無理過ぎました……(その楓が、割とポジション的にはおいしいとこ取りだったりするので、麻子の、特に見せ場もなく、空気詠み人知らずな恋愛脳で嫌みな面ばかりが余計悪目立ちしてしまっている印象なのも何だかなという感じ)。
というか、そも本作、こんなに大勢の登場人物が必要だったのか……視点(語り部)がころころ変わるから無駄に頭がこんがらがるし、情報が散漫だから個々の内容のインパクトも希釈されてしまってるし。もう少し、登場人物も内容も取捨選択し焦点を絞って濃密な内容にした方が印象に残る作品になった気がしますが。
そんな感じで、ストーリー云々よりも終始キャラの不快感の方にばかり気を取られてしまい──そも、その肝心のストーリーも、各人の動機が弱かったり度々理解に苦しむ行動をとったり、絶対に何かあると思わせ振りな書成をしておきながら特に掘り下げられることもなく曖昧なまま片付けられたりと、展開や結末に手応えを感じないままなんとなく終わってしまったような消化不良感。
故に、個人的評価は星1か2か──という印象だったのですけど、最後の最後、ある人物の「こんな勉強が将来なんの役に立つのか」という問い掛けに対するアンサーになるほど、と思わされたので星2評価。
ただ、続編があるようですが、自分は正直もういいかな。
ここ最近は(最初に手に取った〈霊視刑事シリーズ〉が好みに合致したこともあり)この作家さんの作品を重点的に読んできましたけど、どうもこの方の軽いノリの作品は自分の肌には合わないようです。