【⭐️3】鎌倉不動産のあやかし物件
【鎌倉不動産のあやかし物件】安東あや 作:メディアワークス文庫 2016/9/24(個人的評価:⭐️⭐️⭐️☆☆)
これといって何の予定もなく家で過ごしていた大学2年生の夏休み。
習い事友達から家族ぐるみで鎌倉の自宅に招待されたと浮かれる母に、半ば強引に付き合わされることとなった紺野清花(こんの さやか)だったが、それが両家の親が密かに仕組んだ見合いだったと知り憤慨、辞去しようとする。
だが、いとまを告げようとしたところ突如意識が遠のき、次の瞬間には倒れた自分の姿を自ら見下ろしていた。
宙に浮いている自分の体が透けている。
母に抱きかかえられた自分の体はぴくりとも動かない。
どれだけ叫んでも母も誰も自分の声に気づかない──
まさかの幽体離脱、自分は死んでしまったのだろうかと動揺し恐怖する清花の悲痛な叫びにただ一人反応したのは、見合い相手の最上雅秋(もがみ まさあき)だった──というお話。
序盤から主人公とヒロインを是が非でもくっつけんとするお膳立て感満載の強引かつ突拍子もない展開に読み始めて早々辟易。これは自分には読了できないかもしれない……と読書開始僅か10数分で早諦めムードに突入しかけましたが、我慢して読み進めると、作者の鎌倉愛に溢れた歴史蘊蓄なども満載で、どうも単なる安っぽい恋愛話という訳ではないっぽいぞ? と意識に変化が現れ、なんとか読了することができました。
とはいえ、ヒロイン・清花が自分が大の苦手とする──浅慮な行動で物語を展開させるトラブルメーカーで、そのくせ、自分を棚に上げ偉そうに他人に説教したりもする──タイプ、しかも、よりによって最終話(第4話)の立ち回りがあまりにも酷すぎて最後の最後で好感度だだ下がりという悪手を打ってくれたので、何とも微妙な感情を抱いたまま読み終えるはめに。
他方、雅秋の「霊感は強いが、霊に対し(除霊などといった霊的対処や)何かをできるわけではない」という設定(物語的立ち位置)はユニークだし、霊感体質であるが故の彼の苦悩なども興味深く読めました。
返す返すも清花の、あの第4話の酷い立ち回りがなければ、星1つプラス評価だったのになぁ……と悔やまれるばかり。
ただ、それはそれとして。
⚠️以下、ネタバレ注意⚠️
結局、清花がなぜ突然離魂体質(感情が高ぶると幽体離脱する)になってしまったのか、雅秋が「特に(霊的な存在など)何も感じない」と判断した凶悪面の招き猫は本件に関わりが有るのか無いのか、霊感はあっても霊に対処する術は持たないといいつつ雅秋が(雅秋だけが)清花の抜けた魂を肉体に呼び戻せるのは何故なのか、清花の離魂体質を解決する方法はあるのかないのか──等々、肝心な部分が何ひとつ明かされず有耶無耶なまま終わってしまったのが何とも。
伏線あれこれがあんまり投げっぱなしなので続編でもあるのかと思いきや、そうでもないよう、で……?
また、清花の思わせ振りな『17歳の時に経験した人生の躓き』も、10年にわたる雅秋や紗英の苦悩に比べると深刻度……というのは失礼ですが(何が深刻かは本人の歩んできた道や価値観次第でもある訳だし)同列に語られるべきものではないよなぁ、とも。
浅慮な行動やそういった掘り下げの甘さから、清花がなんとなく薄っぺらいキャラに見えてしまったのが本当に残念。