【⭐️3】浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト
【浜村渚の計算ノート 2さつめ ふしぎの国の期末テスト】青柳碧人 作:講談社文庫 2012/1/17(個人的評価:⭐️⭐️⭐️☆☆)
少年犯罪の元凶として義務教育から数学が排斥された日本。
数学教育の地位向上を謳い活動するテロ組織【黒い三角定規】、その幹部候補を自ら名乗る『ルービック王子』なる男の手により、ふたりの弁護士が拉致され、内ひとりが殺害された。
捕らわれたもうひとりの弁護士を救出すべく、対策本部は数学大好き中学生・浜村渚(はまむら なぎさ)に協力を仰ぐが──【黒い三角定規】と浜村渚の戦いを描くシリーズ2作目で、短編4話とエピローグからなるオムニバス。
大凡に於いて探偵役である浜村渚が珍しく事件解決に直接関与しない話や、表題にある『不思議の国のアリス』をモチーフとした不可思議な話など、バリエーションに富んだ内容。短編故の読みやすさ・明快さも健在(※但し、アリスモチーフの【不思議の国のなぎさ】は、個人的には内容が不明瞭で消化不良気味)。
……なんだけども、相変わらず警察組が(多少の見せ場はあれど、それを帳消しにする程のあり得ない失態も犯すしで)無能極まるので読んでてイライラさせられる場面もまま。
それに、これは前作でも感じた事ですが、幾人もの死者が出ているにも関わらず、浜村渚も警察組も基本へらへらと脳天気だし、事件の解決においても、あれだけ散々人を殺しておきながら「浜村渚の真摯な数学愛にあてられ最終的には犯人が自首/改心する」というような美談っぽく〆ようとする向きも、個人的には正直不快(フィクションであっても、殺人犯はきちんと断罪してください)。
こういう、ほんわかとした雰囲気で数学の面白さを伝えるという方向性に重きをおくなら『人が死なないミステリ』の方が適していたのではないか、と個人的には。
同じく、同作者の手による義務教育科目を題材にした【西川麻子シリーズ】はそんなに不快に感じないのに、何故こちらのシリーズにはこれほどの抵抗感を覚えてしまうのか……うーん、謎。
あと、浜村渚が「ウザい」という言葉を頻繁に使うのには閉口。
勿論、誰あろう原作者がそう書いて(言わせて)いる=揺るぎない公式設定なのだから、いち読者の自分が違和感を感じるというのもおかしな話なのですが──それでも、自分の中にある浜村渚というキャラ像は、そういう俗っぽく乱暴な言葉を使うイメージと合致しないので、もの凄く違和感。
数学においては天才で非凡な彼女も、ごく普通の女子中学生なんですよ、っていう演出の一環かもしれませんが……うむむ。