【⭐️3】ブラックコール 行動心理捜査官・楯岡絵麻
【ブラックコール 行動心理捜査官・楯岡絵麻】佐藤青南 作・宝島社文庫『このミス』大賞シリーズ 2014/04/04(個人的評価:⭐️⭐️⭐️☆☆)
1作目が貸出中だったらしく図書館で見当たらなかったので、2作目らしいこちらから。
1話完結のオムニバス形式っぽかったので2作目からでも大丈夫……かと思ったのですけど、どっこい、一部1作目から話が繋がっている? みたいですね(作中、「以前(=恐らく1作目で取り扱った?)あの事件の時にこんな事があって云々」のような語り口があったので。最も、2作目から読み始めても特に内容的に問題はなさそうでしたが)。
行動心理学を用い相手の仕草から嘘を見抜くことに長け、その自供率100%の手腕をして『エンマ様』と呼ばれる女刑事・楯岡絵麻が難事件を解決してゆくシリーズ。2作目の本作は4つの短編からなる連作もので、かつて恩師を惨殺した真犯人に楯岡が15年の時を経て迫る──というお話。
警察小説に多い「捜査は足で稼ぐ」というような、地取り・鑑取りといった地道な捜査の積み重ねと、それら集約された情報に裏打ちされた筋読みで真相に辿り着く──と言うより、被疑者の取り調べその駆け引きに話の焦点が絞られているのが、今まで読んできた同ジャンルとは一線を画す印象でした。
……とはいえ、内容のシリアスさ・エグさにも関わらず、主要人物の言動そのコミカルさや、副題の、下手な駄洒落(「イヤよイヤよも隙のうち」「トロイの落馬」等)の如きナンセンス振りが何とも言えず😓
最も、1話・2話あたりは設定の着眼点はユニークに感じるも、楯岡や西野の言動その態とらしさ(漫画的誇張)に違和感と若干の拒絶反応を覚えたり、1話の犯人その犯行動機もいまいち腑に落ちず首を傾げたりと可も不可も無くな印象で、正直、3話以降読むかどうしようかと頁をめくる手が止まってしまったのですけれども──
しかし、3話で楯岡と犯人の駆け引きが一気に面白くなり、それから一気に読破した次第です。
4話の結末については何とも言えないものがありますが、犯人絶許派な自分としては、某人物の気持ちは、分からないでもない、かなぁ……などと(勿論、絶対にやっちゃいけない事だけど)。
にしても、いくら無秩序型サイコパスの残虐な犯行その一部始終とはいえ、恩師が嬲り殺されるシーンは余りに凄惨のひとこと。
こういう残虐なシーン(描写)は警察小説にはどうしても付き物ではあるのでしょうが──本作に限らず、そういった内容は実際に起こった事件をモデルにしているのか、それとも作者による創作なのか、いずれにしても人間とはかくも恐ろしい生き物たれるのかと戦慄するばかり。
そんなこんなで、こういった残虐なシーンを生々しく描写する事の是非に関し、世間一般ではどのように論じられているのか──というのを長々綴ろうかと思いましたが、『本作の書評』としては論点がずれそうなので割愛。
とにもかくにも、そんな凄惨な暴行殺人事件を扱っておきながら先述のとおり副題がセンスを感じない駄洒落というのは、本当にちょっとどうなんでしょうかねコレ……それとも自分に理解できないだけで、心理学的高度なユーモア……だったりする……んですか、ね……?(困惑)