【⭐️2】夢のカルテ

夢のカルテ高野和明/阪上仁志 作:角川文庫 2011/12/22(個人的評価:⭐️⭐️☆☆☆)


 銃撃事件を切っ掛けに不眠症に悩まされるようになった刑事・麻生健介(あそう けんすけ)は、来生夢衣(きすぎ ゆい)というカウンセラーと出会う。

 治療を通じ次第に惹かれ合うふたり。

 だが夢衣には『他者の夢に介入できる』という特殊な能力があり──というお話。

 4つの短編からなる連作ミステリー。


 概ね、麻生が関わる事件その関係者や被害者、容疑者の見る『夢』から夢衣が事件の真相に辿り着く、というような構成ではありますが、物語の主眼は犯人当てや推理というより、麻生と夢衣の恋愛模様。


⚠️以下、ネタバレ&ネガティブな感想注意⚠️

 あくまで個人的な所感です、と前置きし綴ることには──もうヒロインの夢衣がとにかく我が儘・自己中・狡いと言動が悉く面倒くさい女過ぎて自分には無理過ぎました🤢

 第一章こそ、不眠に悩む麻生の救世主的に描かれたことで聖女のごときイメージを抱いた夢衣ですけれども──あるいは、その第一印象が良かったからこその落差なのか、付き合い始めた途端、デートプランは全て「健介に任せる」と丸投げ、デート中に健介が事件発生の報を受け現場に向かおうとするや、「これから一緒にパスタ食べる予定だったよね?」「そのあと観る予定だった映画は?」等と詰め寄る始末。

 刑事という仕事の特殊性・緊急性くらい分かるでしょうに……とすっかり呆れ、しかしそれ以降も、夢衣のクライエントである連続殺人事件の重要参考人その情報提供を求めても「守秘義務があるから答えられない」と固持。

 それ自体は職業倫理的観点から仕方の無い部分もあるのだろうとは思えるものの、しかし、刑事である麻生も同様の苦しい立場に立たされているのに、「どうして自分の立場を理解してくれないの? 私を守ってくれるんじゃなかったの?」等と、麻生のこともそっちのけで一方的に非難する始末。

 挙げ句、夢衣と麻生の昔馴染み・美紀が凶悪な殺人事件に巻き込まれるかもしれない──という状況下、夢衣の関わる容疑者はシロだったものの、美紀の関わる容疑者はクロと判明、今正に命の危機に瀕する昔馴染みの元に急行するのは刑事として以前に最早人として当たり前の行動だろうと思うに、よりにもよって夢衣は「健介が万一の際の連絡先を教えていたのは私だけじゃなかったんだ」「健介の思いはもう自分には向いていない」と悲嘆に暮れるとか、もう何故そうなるねんなアンタどんだけ面倒くさいヒロインやねん!💢 状態🤢

 ヒロインがカウンセラーであるが故に、恋愛転移だの逆転だの何だのと専門的な分析をもって事実以上に複雑に物事を考えてしまう、という設定も多分にありはするのでしょうが──それでも、何だかなぁ。


 ただ、本作は麻生と夢衣、2人の視点で交互に描かれるので、すなわち読者は麻生の本心も分かっているが故に、夢衣が被害妄想マシマシで突っ走り麻生に疑念や嫉妬を抱く度、「いや、健介はお前が思ってるような駄目男じゃねーよ! むしろ誠実で優しいめっちゃええ男やんけ!!」って余計イライラさせられた、というのは大いにあるのではなかろうか。

 すなわち、本作が夢衣の視点だけで展開するお話だったら、或いは、夢衣にここまでの悪感情を抱くことは、無かった……のかなぁ……? いや、どうだろ(震え)

 それでもやはり、イライラさせられる恋愛の駆け引き(?)云々は別にしても、夢衣の行動その浅はかさ自体如何ともし難く──母親の「誰かに尾けられてる気がする」という主訴から不安症状ではなく本当に誰かに尾けられているのではないか? という藤原の言及や未亜の夢から、かの母娘らにも身の危険が迫っているのは容易に予測できるだろうに、麻生の助力も得ず武器も持たず、ましてや一人で行くならまだしも幼い未亜を連れ2人でひとけの無い(未亜の父親が殺害された)場所へ犯人が血眼で探している物証をほいほい回収しに行くとか、これまた自分が大の苦手な後先考えない、トラブルを引き起こす為に存在するトラブルメーカー系ヒロインぶりが何とも(白目)


 高野和明氏の作品は今まで何冊か読ませていただきましたけど、こんなに突っ込みどころの多い作家さんのイメージではなかったのになぁ……共同作者の方の意向? がその辺影響してるって事なのかしら。

 とにもかくにも、最後は何となくイイ感じ風に纏められてはいましたが、個人的に麻生が(自分の弱さや下心を自覚しつつも何とか理性的に折り合いをつけようとするところ等も引っくるめ)好感なキャラだっただけに、彼の心を無駄にざわつかせ振り回す夢衣の言動その数々は(一応、心理学的な原因があったにせよ)最後まで納得できませんでした。もやもや🤢

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