【⭐️2】パズラー 謎と論理のエンタテインメント
【パズラー 謎と論理のエンタテインメント】西澤保彦 作:創元推理文庫 2021/5/28(個人的評価:⭐️⭐️☆☆☆)
高校の同窓会に誘われた日能(ひなせ)は、幹事である高柳(たかやなぎ)から衝撃の事実を知らされる。何年も前に亡くなったとばかり思っていたクラスメイトの梅木(うめき)が生きているというのだ。誰かと間違えたにしても、同じクラスの女性で亡くなった人はいないがと首を傾げる高柳。
なぜ、自分はそのような記憶違いをおこしていたのかと訝る日能だったが、いざ同窓会に出席してみると、真相が分かるどころか謎は深まるばかりで──
『蓮華の花』はじめ計6本の短編からなる短編集。
先日書評を上げた【七回死んだ男】が(文章の読みにくさはあれど)なかなかユニークな内容だったため、この作家の他作品も読んでみようと手に取った1冊。
……なのですが、この作家が作中えぐい性描写を盛り込むことで有名(?)な方らしいことをよく知らず(そしてカバーに記載されていたあらすじからも、そんな雰囲気は微塵も感じられなかったことから)手に取ったものですから、5話目『チープ・トリック』のあまりの性表現(強姦・同性愛など)その過激さに思わず顔をしかめたほど。でも、振り返ってみると確かに、【七回死んだ男】でも性描写の片鱗はちらほら窺えたから、完全に自分が油断していた、と、言えなくもないかなぁ……とも。
作者はアメリカ生活が長い方だったようで、だからこそ、こういった舞台設定の作品も生々しくリアルに描写できるのだ──とは他レビュアーの弁です(し、実際自分も読んでいてそうなんだろうなとは感じた)けれども、それはそれとして。
主人公らが謎に面しあれこれ推理を繰り広げつつ、結局最後まで真相が明らかにならない(主人公の推理が当たっているか否かの答え合わせがない)という結末のものが大半、というのは非常にユニークな印象。
ただ、主人公らの推理に概ね納得できる話はともかく、「いや、なぜそんなぶっ飛んだ推理になるねんな」と突っ込みたくなるような話に解が提示されないのは消化不良感が凄まじい。
個人的には『蓮華の花』(なぜあのような行動に出たのか、仕掛け人の意図自体は分からないではないものの、それを実行に移したことは理解に苦しむし、結果として加担してしまった側もなぜ不審に思わなかったのか? という違和感が拭えない)、『時計じかけの小鳥』(主人公の推理に納得しかねる)がそれに当たりますが──ただ恐らく、後者はストーリー上、主人公の推理その正誤はまったく問題ではなく、重要なのは、その推理を経て主人公の世界の見方が変わった、というところにあるのでしょう。
……というのを自分なりに分析してみたところで、低空飛行気味の評価が覆ることはないのですけれども。要領を得ず二転三転する推理をだらだらと聞かされ続けた挙げ句、「真相は読者の解釈にお任せ」で丸投げされる徒労感は如何とも。
その点、比較的明確なオチが用意されている最終話『アリバイ・ジ・アンビバレンス』なんかは安心して読めましたかね。
とはいえ、全体的には何となく肩透かしというか、可も不可も無くというか。
短編なのだから情報量を盛りに盛らず要点を絞り、推理の道筋をもう少し整理してスッキリ読ませて欲しかったな、と個人的には。