【⭐️2】近畿地方のある場所について

 【近畿地方のある場所について背筋 作:KADOKAWA 2023/8/30(個人的評価:⭐️⭐️☆☆☆)


 情報をお持ちの方はご連絡ください──


 本作の筆者・背筋(せすじ)の友人が失踪した。

 駆け出し編集者の彼は初仕事として老舗オカルト雑誌の編集を任されることとなり、出版不況の煽りを受け予算が削られる中、何とか良い雑誌にしようと過去記事やお蔵入りした取材データ等を片端から精査、近畿地方のある場所にまつわる怪談の数々に目を留める。


「もう少しで全部つながる気がする」

「一度、自らその場所を訪れてみようと思う」


 その言葉を最後に、彼は消息を絶ってしまったのだった。

 筆者は近畿地方のある場所について、関連する雑誌の記事やネットに流布された情報、お蔵入りした取材データを文字起こしするなどし、一冊に纏めた本書『近畿地方のある場所について』を刊行、読者に情報提供を求めることにしたのだが──というお話。


 X(旧Twitter)のTLでたまたま見かけた際、かなり話題になっているとの事で気になり図書館で予約、それから実に1年近く経過し、ようやく貸出の順番が回ってきました。


『モキュメンタリー』という手法を本作で初めて知ったのですけど、ストーリー仕立ての小説というよりも、先述通り、雑誌の記事やネットの情報を切り貼りし、ただただ淡々と寄せ集めたかのような構成。実際に起きた事件などがモチーフになっているのでしょうか、妙な生々しさが拭えないというか、現実と虚構の境界線が曖昧になるというか──そんなリアルなライブ感を感じさせる内容で。関西軍曹応答されたし。

 他方、構成のユニークさ斬新さはともかくとして、エンターテイメント作品として見た時にどうなのか、というと、正直、何とも評価に困るというか……およそ人智の及ばぬ怪異(怪異現象)相手なのだから、明確な解やオチ、あるいは綺麗な起承転結を求めるのも筋違いなのかもしれませんが、それにしても何とも消化不良というか中途半端と言うか、何だろうこの何とも言えない収まりの悪さ。ううむ。


 総じて、世間一般に評価されているほどの好感触は残念ながら自分は得られなかった、という所感でしょうか。

 掲示板でのスレ主と名無したちの軽妙なやり取りであったり、霊感ある人の「怪異に巻き込まれないための知恵」であったり、そういったノンフィクションさながらのライブ感溢れる部分は非常に面白く興味深く読めたので星2つ評価で。

 ただ、オチの性質からして、あまり人に勧める気は起きないかな(精神衛生上よろしくない的な意味合いで)

このブログの人気の投稿

映画【8番出口】(⭐️4)

【⭐️2】吸血鬼と精神分析(※読了ならず)

【⭐️5】乱歩賞作家の創作術 エンタメ小説の書き方 初心者ガイド