【⭐️4】怪談青柳屋敷
【怪談青柳屋敷】青柳碧人 作:双葉文庫 2023/5/13(個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️☆)
無類の怪談好きである著者が、自らの体験あるいは友人知人、はては行く先々で出会った見知らぬ人々から蒐集してきた怪談の中から49篇を選び纏めた怪異譚。
実話怪談なので脈絡やオチの無い話も多いですが、1篇2~8頁程度といずれも短い話なのでさくさく読め好感。
一部、話者(怪談提供者)を特定されないよう詳細を省いたりフェイクを織り交ぜたりしたものもあるようですけれども、基本的には著者の作為が込められた創作話では(恐らく)ないので、読み物としては起承転結がどうだとかトリックや最後のオチがどうのといったエンタメ性は薄いものの、実話怪談として読むとなかなかどうして、ゾッとする話や考えさせられる話もあり興味深い。
個人的には、あとがきで触れられていた『怪談の魅力』に関する話に膝を打った次第(好井まさおという芸人さんが運営されているYouTubeチャンネル【好井まさおの怪談を浴びる会】にゲスト出演した島田秀平さんという方が、「幽霊云々という話をすると全否定する人もいるが、怪談好きの人は全て受け入れてくれる。だから怪談は怖いようで優しい空間。突拍子もない話でも全部聞いてくれる度量の広い方が多いから、民度も高い」というようなお話)。
なるほどと目から鱗が落ちる思いがした一方、続く、自らもミステリ小説を手掛ける著者のミステリ観──荒唐無稽なトリックや納得しかねる犯行動機をして「それは無理だろ」「そんなの有り得ない」と敬遠する読者は、こういうミステリは楽しめない。本格ミステリと怪談、両者の根底には寛容の精神がある──を読むと、何とも耳(もとい目?)が痛く。
ただ、多分に自己弁解なのでしょうが、怪談と本格ミステリはそもそも性質が全く異なる(と、少なくとも自分は考えている)から、同一に語るのもどうなのかな、とも思ったり。
自分は(就寝中の金縛りや幻覚に襲われるなどの経験は何度かあれど、基本的には)零感体質ですけれども、それでも、怪談を「有り得ない」とは全然思わない(自分には視えないというだけで、視える人には視えるのだろうし、実際そういう怪異は存在するのだろうな、とも思う)し、他方、ミステリ小説に於いて、辻褄の合わない展開や納得いかない犯行動機を寛容に受け止められるかというと、リアリティ重視の観点から「いや、そうはならんやろ」って、つい突っ込み白けちゃう。
しかして、一見、有り得ないようなトンデモ設定&展開でも面白いと思える作品も確かに存在する(例えば方丈貴恵氏の竜泉家シリーズとか、読む前は「タイムスリップ題材のミステリものってどうなの?」と半信半疑でしたが、実際読んでみるとちゃんと設定も筋も通っていて凄く楽しめたし大好きなシリーズとなった)わけで、結局のところ何でもかんでも受け入れる読者側の寛容さ云々だけでなく、作者の筆力と、作品と読者の相性なんかも関係するんじゃないですかね、などと思う由。