【⭐️4】霊視刑事 夕雨子1 誰かがそこにいる
【霊視刑事 夕雨子1 誰かがそこにいる】青柳碧人 作:講談社文庫 2020/7/15(個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️☆)
子供のころ行方不明になった親友を探すべく刑事となった大崎夕雨子(おおさき ゆうこ)は、この世に未練を残す霊と会話できる能力をもつ。
その夕雨子が籍を置く中野署刑事課に、本庁捜査一課から野島友梨香(のじま ゆりか)が配属されてきた。本庁ではいわゆる問題児扱いされていた彼女が面倒事に首を突っ込むことのないよう監視役を命ぜられた夕雨子だったが、野島は本庁に戻るべく手柄を上げようと躍起になり、配属初日からトラブルを起こしてしまう。
そんな周囲を顧みない野島に振り回される夕雨子だったが、ある日、彼女の友人である奈々子に殺されたと訴える男の霊と遭遇。奈々子が人殺しなど信じられない、でも本当に奈々子が犯人だとしたら自分はどうすべきなのか──苦悩の末、真相究明のため野島の鋭い洞察力に頼るべく、意を決し死者と会話できる旨を告白するが──というお話。
行方不明となった親友を探すべく刑事になった……割には夕雨子にあまりやる気が見られなかったり(基本的に生真面目で『でもでもだって』な内向的? 性格だからではあるのでしょうけど、それを差し引いても、同じく死者と会話できる能力持ちの祖母が、自分が生前その異能を役立てることができなかったことを悔やみ夕雨子に警察官になるよう勧め、その為に入学試験も手伝った──まさか、カンニングとかじゃないよね?──だのと、親友の件があるにも関わらずどうも夕雨子が自発的に警察官を目指した感がないなど導入からモヤモヤ)、野島が本当に横暴に過ぎるキャラでこれまた初見のイメージ最悪だったりと、正直、かなり序盤で「読むの止めようかな……」と思ってしまった程、第一印象は宜しくない作品でした。
ただ、我慢して読み進めると、夕雨子に語りかける霊たちは皆印象的だし、全4話からなるオムニバス形式なのでさくっと読めるし、一部犯人の動機に首を傾げる事はあっても、全体的にそう奇抜なトリックや不自然な展開もなく、手堅く安定した面白さがある作品なのかなと印象一変。特に4話目は涙腺やられました……!
刑事としての夕雨子は最初から最後まで相変わらずの頼りなさではあるものの、そんな夕雨子とバディを組むのが協調性皆無ながらに捜一きっての高い検挙率を誇る切れ者の野島というのも案外良いバランスなのか、死者と会話できるも、そこで得た捜査情報をいまいち生かせず迷走する夕雨子を尻目に、野島が鋭い洞察力からなる的確な筋読みと咄嗟の機転で事件を颯爽と解決に導いていく様はまさに爽快。
夕雨子も野島も第一印象ネガティブだったはずなのに、いつの間にかこのバディが大好きになっていたというのは、作者の筆力実にお美事としか。
そういえば、自分そんなに刑事物を沢山読んできた訳ではないものの、女性のバディものって珍しい気がしますね(実際、本編でも先輩刑事から「女性2人のコンビは珍しい(が、犯人を油断させるにはいいのかもしれない)」等と評されてましたし)。
現実的な話として、女性2人でバディ組ませることって実際あるんですかね?
いくら男女平等だの共同参画だのといっても、どうしたって意識だけでは覆せない性別的身体的優劣はある(例えば、暴れる犯人を取り押さえる際等は、どうしても力の強い男性の方が有利なのではないか? 等)と思うので、男性+女性か男性2人のバディの方が多いのかなって勝手に想像してみるのですが──
ともあれ、本作は通し番号が振られたタイトルからも分かる通り続き物のようで、幼少時行方不明となった夕雨子の親友だとか野島が本庁から中野署に左遷される切っ掛けとなった事件とか気になる伏線もりもりなので、2巻以降もしっかり追っていきたい所存!