【⭐️3】リケジョ!

 【リケジョ!伊与原新 作:角川文庫 2014/2/25(個人的評価:⭐️⭐️⭐️☆☆)


 苦学生で人見知りの仁科律(にしな りつ)は、留学費用を稼ぐべく富豪・馬淵(まぶち)家が令嬢・里緒(りお)の家庭教師をすることになる。

 時給四千円、月額二十五万円からという破格の報酬に加え、里緒当人は理科大好きの風変わりな小学生──そんな里緒から「車がレンガの壁から幽霊のようにしみ出してくる、なんてことは本当に起こりえるのか?」という奇妙な質問が投げかけられた。

 いわく、『投げ出し墓』と呼ばれる墓地沿いの道で壁から生えた人の足のようなものに躓いたという児童の証言から、彼女の小学校で幽霊騒ぎが起きているのだという。

 幽霊の存在を科学的に説明できないかという里緒に、律は、里緒お付きの運転手・恵人(けいと)共々現場に駆り出されるのだが──【投げ出し墓のバンディット】始め、全5話の短編からなるオムニバス。


 タイトル通り、『理系女子』たる律と里緒の凸凹コンビが様々な謎を解明してゆく話で、幽霊騒動から始まる導入に「人死にのない日常系ミステリなのか」──と思いきや、動物虐待や殺人事件などシビアな内容も。

 また、コペンハーゲン解釈やシュレーディンガーの猫など、専門的な話がふんだんに盛り込まれている割に詳細な解説があまりなされていない(その分野にまったく明るくない人にも分かり易く説明する、のではなく、最低限の知識がある前提で解説されている印象)為、その分野に詳しくない場合は都度調べながら読み進めないと理解が難しいと感じる部分も(物事の比喩にまで専門用語や知識が用いられているため、ぱっと読んでも、そこに込められた意味やユーモアが咄嗟には理解できなかったり)

 かくいう自分も理数系が大の苦手なので、読み進めるにつけ脳が理解を拒むような感覚にしばしば襲われ、専門用語を調べるに至らず流し読みで済ませてしまった部分もまま。


 他方、先に読了した【コンタミ 化学汚染】とは対照的に、登場人物が魅力的に描かれていたのは好感。

 実際、恵人などは律同様、第一印象がかなりネガティブ寄りだったにも関わらず、その軽妙さ(チャラさ)を保ったまま好感度がじわじわ上がってゆく様には感心させられました。


 ストーリーは、伏線が丁寧に張られていたなという印象と無理矢理なこじつけ感が否めない面とが混在し(先述通り、専門的用語が度々物語への理解を阻害していたこともあり)読了後振り返っても、特にこれといった印象のあまり残らない内容だったかなと。

 個人的にはストーリー云々よりも、作中挙げられていた様々な知識が大変興味深かったでしょうか(同じ全盲でも、第一視野角の機能その有無で状況が全く異なる件など)



⚠️以下、ネタバレ注意⚠️


 ──にしても、この作者さん、今まで3冊読んできましたけど、いずれも内容がシビアな割には結末が総じて優しい(憚らずに言えば都合良く丸く収まる)印象ですね。

 それが「何かちょっと都合良くうまくいきすぎじゃね?」という不納得感に繋がるきらいもあるように感じますが、本作に関しては、本作の雰囲気に相応しい、爽やかで余韻のある良い終わり方だったのではないかなと感じました。

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