【⭐️5】孤島の来訪者(文庫版)

孤島の来訪者(文庫版)方丈貴恵 作:創元推理文庫 2024/1/12(個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️)


 事故死を遂げた続木菜穂子(つづき なおこ)の父・隆三(りゅうぞう)の元に、生前の菜穂子から自身の死が謀殺であることを告げる手紙が届く。曰く、職場の上司の犯罪行為を告発しようとするも罠に嵌められ、自身の命が狙われることになったのだという。

 隆三が手紙を手に警察に掛け合うも事件性なしと相手にされず、それどころか数日後には続木家が不審火により全焼、隆三も帰らぬ人となってしまった。

 菜穂子の幼馴染・竜泉佑樹(りゅうぜん ゆうき)は続木親子の復讐を誓い、テレビ番組製作会社のADとなった。復讐対象であるテレビ関係者三名とともに無人島のロケに参加し、撮影の傍ら計画を進める予定であったが、しかし、佑樹が自ら手を下す前に、標的の一人が変死体で発見されてしまう。

〈幽世島(かくりょじま)の獣〉事件──

 その無人島は四十五年前、全島民十二名が惨殺された、曰く付きの島だった──というお話。


 単行本を図書館で借り読了済でしたが、文庫化を機に購入し再読。

〈竜泉家の一族シリーズ〉三部作の2作目ということで、1作目と直接的な話の繋がりはないため一応は単体でも読めるものの、前作を読んでおいた方がしっくりくるかなという印象(佑樹が初っ端からぶっ飛んだ推理を披露するのも、1作目の事件を経て生まれたであろう竜泉家の家訓があればこそかな、と妙に納得できたりもするため)

 そんな、主人公が開幕から3人を殺害する気満々というかなりのホットスタートを見せる本作だが、計画外の殺人発生から話は全く予想外の展開を見せることに。これを書いた時点でネタバレになりかねないが、本作は所謂『特殊設定ミステリ』なので、好き嫌いは分かれるかと思われ。

 ただ、かくいう自分も基本的にミステリにはある程度のリアリティや辻褄を求めるため、タイムトラベルを扱った1作目【時空旅行者の砂時計】を手に取った際は「いや、こんなトンデモ設定じゃ何でもアリになっちゃうじゃん」と半信半疑だったものの、いざ読み始めたら頁を繰る手が止まらなくなるほどのめり込めたので、本作巻末の解説にある「とにかく読書に驚きを求めるタイプの読者も、緻密な論理によって謎が綺麗に納まる過程を楽しみたい読者、双方を満足させるような物語」と評されている通り、特殊設定によほど拒絶反応のある方でなければ楽しめるのではないかと。

 奇抜な設定によるインパクトだけで押し切るような作品ではなく、きちんとロジックが組み立てられている点が好印象。


 2026年4月現在、〈竜泉家の一族シリーズ〉4作目の発表はありませんが、個人的にはもっと読みたいと続刊を期待しています……!

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