【⭐️4】13階段
【13階段】高野和明 作・講談社文庫 2004/08/10(個人的評価:⭐️⭐️⭐️⭐️☆)
何というか……いや、凄絶のひと言。
っていう2文字だけでネタバレになりはしないかとヒヤヒヤしますが😂💦
2年前に起こした傷害致死事件で服役し仮釈放を受けた三上は、看守長の南郷から「死刑囚の免罪を晴らす仕事を手伝わないか」と持ちかけられる。
民事賠償で困窮に喘ぐ家族を目の当たりにし、高額の報酬をあてに不承不承承諾するが──というお話。
果たして本当に免罪なのか? だとしたら真犯人は? といったミステリーかと思いきや……いえ、確かにミステリーではあるのですけど、それ以上に、法とは・正義とは・死刑制度の是非は──といった、硬派で社会派な内容で。
批判を恐れずに言ってしまえば、私は死刑制度賛成派です。
何ならタリオの法よろしく、被害者をむごたらしく殺害した死刑囚には被害者と全く同じ殺され方でもって刑に処してほしいと思うほど。
その考え方自体は変わりませんが、しかし、本作を読み『刑に処す側』──本作においては死刑執行に携わる刑務官──の苦悩や葛藤を知るにつけ、自分は『死を与える側』の存在をまったく勘定に入れてなかった事に気付かされました。
それがどんなにか凶悪な犯罪者であるという大義名分があっても、例え絞首刑執行のボタンが複数ありどの刑務官が押したボタンが死刑囚の命を絶ったのか特定できなくても、それでも、人の死に関わることへの罪の意識や苦悩は計り知れないのだと。
その他にも、前科者の社会復帰の難しさや、死刑囚舎房での『お迎え』の凄惨さ等々、多分、このまま漫然と生きていけば自分には一生縁の無いであろう諸々が非常に生々しい筆致で描写されていて、なんと表現すれば良いのか……とにかく、言葉を失いました。
⚠️以下、ネタバレにつき閲覧注意⚠️
これだけ重苦しいテーマを内包した作品でも、それでも、読み始めた当初は正直、そこそこのハッピーエンドを期待してました。
樹原の免罪は晴れ、三上は成功報酬で賠償金を精算し新たな人生を歩み始め、南郷は家族とのよりを戻しパン屋を開業する──上手くいきすぎに思えても、少なくとも三上・南郷の歩んできた人生を思えば、最後くらいは報われてほしかったと。
しかし、南郷は正当防衛とはいえ真犯人を殺害し、しかも本人は無罪になる気がまったくない。
三上は三上で、高校生の頃付き合っていた彼女を佐村に強姦された過去から、実際には佐村を死なせてしまったことに全く改悛の情も罪悪感も抱いてはいない。
だから、南郷曰く「2人とも終身刑」だという──
百歩譲ってそれでも、三上は実際に佐村を(結果的に『不慮の事故』になったとはいえ、本来明確な殺意もあり)殺害した訳ですからまだしも、南郷がこんなにも悲痛な最後を迎える事になるのは、流石にやるせなさすぎる……!
確かに、過去2度関わった死刑執行において、どちらか、あるいは両方とも免罪の可能性が無かった訳ではないのかもしれないけれど、それは刑務官である南郷にはどうしようもなかったし、妻との不和に関しても、職務上の守秘義務があったのだから、やはり黙るより他にどうしようもなかった。
更には、更生を期待して三上を守るべく(正当防衛とも言えはするものの)南郷が自身の全てを犠牲にしてまで殺人を犯したのに、実は三上には(少なくとも三上本人が思うところでは)更生の芽は最初から無かっただなんて、あんまりじゃありません!?
南郷さん、人格者なだけに、何かもう……救われなさすぎて……!
でも、安易なハッピーエンドに着地しなかったからこその、この作品の評価、なのかもしれませんね……ここでハッピーエンドな〆持ってきていたら途端に陳腐でご都合主義な話に成り下がっていたかも。
ううん、でもなぁ……でもなぁ……! 南郷さん……!!